※この記録はAIが自動生成した徒歩旅です。
宗谷線の天塩中川駅を朝の7時半頃に出発した。
木造駅舎の壁は少し色褪せていて、薄い霧がホームに静かに漂っている。
周囲を見回せば、山や畑が遠くまで続いていて、誰もいない駅前にただ鳥の声だけが響いていた。
気温は十度ほど、初夏の北海道らしく、肌に触れる空気は冷たさが残る。
私は深呼吸をして、リュックの肩紐を少しきつく締め、佐久駅に向けて歩き出した。
最初の一歩は、砂利で舗装された駅前の道だった。
足裏にざらりとした感触。
湿った空気の中、草の香りが強い。
歩き始めてすぐ、近くの民家から煙が細く立ち上るのが見えた。
薪ストーブか、それとも朝食の支度だろうか。
静かな町の朝に包まれる。
駅から少し離れたところで、ひとり自転車を押している老人に出会った。
軽く会釈をすると、向こうも小さく頷く。
会話はない。
老人の歩みはゆっくりで、背中が丸く、帽子のつばが朝日に反射していた。
すれ違う時、わずかに石鹸の香りが風に乗ってきた気がする。
国道に出ると、車の走行音が遠くから断続的に響き始めた。
住宅地を抜けると、道は川沿いにのびる。
天塩川だ。
川面は穏やかで、朝日が斜めに差し込む。
水面に冷たい風が走り、少し肌寒い。
足元の舗装は固いが、時折小さな砂利が靴底を滑らせる。
川沿いの道は、右手に木々、左手に広々とした畑。
土の匂いと、遠くで牛が鳴く声。
農作業を始めたばかりなのか、トラクターの低い音がしばらく響く。
途中、道端の野草が朝露で濡れている。
私は少し立ち止まり、手で葉をなぞってみた。
指先に冷たさが残る。
虫の鳴き声が小さく、耳の奥に届く。
歩き続けるうち、体がだんだん温まってきた。
最初の一時間ほどは、足取りも軽い。
足裏に感じる衝撃は硬いが、まだ痛みはない。
歩き始めて五十分ほど、木々の間からリスが道を横切るのを見た。
灰色の小さな背中が、すばやく消える。
思わず立ち止まり、しばらくその姿を探す。
リスの動きに、わずかな野生の気配を感じた。
再び歩き出すと、空気に森の匂いが混ざる。
周囲は静かで、遠くの鳥の声が時折強く響く。
道はやがて、山に近づく。
坂道に入ると、足裏が少し熱を持ち始める。
アスファルトの上、靴底が柔らかく沈む感覚。
歩きながら、汗がじわりと額ににじむ。
風は冷たいが、陽射しは強い。
途中、小さな橋を渡る。
下には細い川が流れ、冷たい水の匂いがする。
橋の端に、地元の子供たちの落書きが薄く残っていた。
誰もいない橋の上、私は水面を眺めて、わずかに安らぎを覚えた。
佐久方面への道標を確認して、再び歩く。
周囲の風景は変わらない。
人とすれ違うこともほとんどない。
ただ、時折遠くから犬が吠える声が聞こえる。
道端の木立の影が長く、冷気が足元に残る。
歩いていると、足裏の感覚がしだいに重くなってきた。
靴の中で指先が少しずつ疲れ、道の硬さと砂利の粒が痛みを生む。
途中、畑の脇に軽トラックが停まっていた。
作業着姿の男性が、黙々と野菜を積み込んでいる。
目が合うと、軽く手を挙げてくれた。
私は小さく会釈を返す。
農家の朝は早い。
トラックのエンジン音が、静かな風景に短く響いた。
歩き始めから一時間半ほど経過。
空は青く、雲はわずか。
日差しが強くなり、温度が十二度を越えたようだ。
道の両側には黄色いタンポポが点々と咲いている。
私は時折立ち止まり、花の群れを眺める。
草の香りは濃く、風に乗って鼻をくすぐる。
疲労がじわじわと足に広がるが、景色を楽しむ余裕はまだある。
一度、小さな林の中を抜ける道に入った。
木漏れ日が地面に落ち、足元は柔らかい土。
土を踏む感覚がアスファルトより穏やかで、しばらく歩きやすかった。
林の中はひんやりとしていて、汗が冷やされる。
木の香りと、湿った葉の匂いが漂う。
林を抜けると、再び道の広がりが戻る。
遠くに宗谷線の線路が見える。
佐久駅の標識が現れた時、残りの距離はわずか。
最後の道は、畑と小川に挟まれている。
川のせせらぎと、時折吹く風の音。
足裏はだいぶ重くなっていたが、歩き切ることへの達成感が私を支えた。
午前9時半過ぎ、佐久駅の小さなホームに到着した。
駅舎はこぢんまりとした平屋で、周囲には誰もいない。
駅前のベンチに腰を下ろし、足を伸ばす。
靴を脱いで、冷たい空気に触れると、歩いてきた距離の実感がじわじわと広がる。
佐久の町は静かで、風が軽やかに吹いていた。
この道のりでは、会話は少なかったが、すれ違う人のしぐさや、農作業の音、川のせせらぎや鳥の声が心に染みた。
北海道の初夏、ひんやりとした空気と草の匂いを存分に感じながら、私は佐久駅に無事たどり着いた。
足裏の感覚、冷たい風、静かな景色。
そのすべてが、旅の記録となった。

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